和菓子の定番「あんこ」の種類!意外と知らない特徴や魅力を徹底解説

和菓子の楽しみの一つに、多彩なあんこの味わいがあります。しかし、あんこの種類が豊富で、どれを選べば良いか迷うことが多いです。あんこは、小豆や白いんげん豆を煮て砂糖を加えたものですが、原材料や製法によって多彩なバリエーションがあります。

この記事では、あんこの基本的な作り方から、原材料別や製法別、加工法別、地域ごとの特徴まで詳しく解説します。記事を読めば、あんこの違いを理解でき、和菓子をもっと楽しむことが可能です。自分好みのあんこを見つけて、和菓子をさらに楽しんでください。

目次

あんこの基本的な作り方

あんこの基本的な作り方は以下のとおりです。

  1. 小豆を水に浸す: 小豆をしっかり水に浸し、柔らかくなるまで置く
  2. 茹でる: 小豆を鍋に入れ、水から茹でて柔らかくする
  3. 砂糖を加える: 茹でた小豆に砂糖を加え、好みの甘さになるまで煮詰める
  4. 練り上げる: 小豆を好みの固さになるまで練り上げる
  5. 保存する: 完成したあんこは、冷蔵庫で保存する

手作りのあんこならではの味わいを楽しめます。手間を省きたい場合は、市販のあんこを利用するのもおすすめです。

【原材料別】あんこの種類

原材料別によるあんこの種類は、以下のとおりです。

  • 小豆あん
  • 赤あん
  • 白あん
  • うぐいすあん
  • ずんだあん
  • 芋あん
  • 栗あん

あんこの違いがわかると、和菓子の魅力をより深く理解できます。

小豆あん

小豆あんは小豆が原料で、基本的に「あんこ」というとこの小豆あんをさします。小豆あんは広く親しまれているあんこで、小豆の深い味わいと風味が特徴です。甘さと小豆の風味のバランスが魅力で、丁寧に煮た小豆に砂糖を加えて練り上げることで、絶妙な味わいが生まれます。赤褐色の美しい色合いも魅力です。

小豆あんは栄養価も高く、たんぱく質や食物繊維が豊富です。抗酸化作用のあるポリフェノールも含まれており、健康面でも注目されています。小豆あんは、ようかんやどら焼き、大福など、多くの和菓子に使用されています。

地域やお店ごとに味や食感が異なるので、食べ比べてみるのも楽しいです。
»ういろうとようかんの特徴から製法までそれぞれの違いを紹介

赤あん

赤あんは、小豆あんの他、赤いんげん豆やその他の赤い豆で作ったすべてのあんを総称したものを言います。赤あんの魅力は、小豆の風味が強く、甘さ控えめで小豆本来の味わいを楽しめることです。粒が残っているため、独特の食感に魅力があります。赤あんを使用した和菓子は、以下のとおりです。

  • 小倉トースト
  • ぜんざい
  • どら焼き
  • たい焼き

赤あんは栄養豊富で、食物繊維やポリフェノールが多く含まれているため、健康志向の人にも人気です。赤あんは製法によって色や風味が変わり、赤褐色や小豆色になることもあります。粒の大きさや砂糖の量で味わいが変化するのも特徴です。手作りも可能ですが、時間と手間がかかるため、市販品の利用をおすすめします。

白あん

白あんは、白いんげん豆や白花豆、白ささげ豆など白い豆で作られたあんをさします。上品な甘さと繊細な味わいが人気です。白いんげん豆が原料の美しい白色のあんで、滑らかな口当たりと上品な甘さが魅力です。上生菓子や最中などの高級和菓子に使われることが多く、関西地方で好まれます。

栄養面でも優れており、たんぱく質や食物繊維が豊富です。水分量が少なく保存性が高いため、長期保存が可能な和菓子作りに適しています。

製造過程で豆の皮を丁寧に取り除くため、滑らかな食感が魅力です。大手亡(おおてぼう)という専用品種がよく使われ、高品質な白あんが作られます。

最近では洋菓子やパンにも使われ、白あんの繊細な味わいが新たなスイーツの魅力を引き出しています。
» 季節感を楽しめる上生菓子の種類と特徴

うぐいすあん

うぐいすあんは、青えんどう豆を使用した爽やかな風味のあんこで、薄緑色が特徴です。うぐいすの羽色に似ていることから名付けられ、さっぱりした甘さと爽やかな風味が魅力です。主に関西地方で好まれ、饅頭などの和菓子によく使われます。春から初夏の旬の時期に、季節感を味わいながら食べるとおいしさが増します。

栄養価が高く、たんぱく質や食物繊維が豊富です。青えんどう豆は皮を剥くのに手間がかかります。保存性が低いため、早めに消費する必要があります。和菓子好きには新鮮な味わいを楽しめる魅力的な選択肢です。季節限定のうぐいすあんを使った和菓子を、ぜひご賞味ください。

ずんだあん

ずんだあんは、枝豆を原料とした鮮やかな緑色のあんです。東北地方の中でも宮城県や山形県の郷土菓子に多く使用されます。さっぱりした甘さと豆の風味や栄養価の高さ、鮮やかな緑色が特徴です。枝豆を潰してペースト状にし、砂糖を加えて練るシンプルな製法で、枝豆本来の素朴な味を楽しめます。

ずんだ餅をはじめ、さまざまな和菓子に使われ、最近ではずんだシェイクなど新しい商品にも活用されています。夏の和菓子として親しまれるずんだあんは、健康志向の高まりとともに人気です。自然な素材のおいしさと優れた栄養価が、現代の食生活に合っています。

芋あん

芋あんは、さつまいもを使ったあんこで、和菓子の材料として人気があります。甘みが強く、さつまいも特有の風味が楽しめるのが特徴です。見た目は茶色や紫色で、洋菓子にも広く使われています。芋あんの魅力は、自然な甘さと独特の風味、栄養価の高さです。

食物繊維やビタミンが豊富で、製法により滑らかさや食感が異なるため、好みに合わせて選べます。主に秋冬に販売されることが多く、和菓子店やスーパーマーケットでも手に入ります。地域によって味や製法が異なるため、全国の芋あんの食べ比べもおすすめです。冷凍保存もできるため、お取り寄せしてゆっくり楽しめます。

栗あん


栗あんは、栗の甘露煮を使ったあんで、栗本来の風味と食感を活かした上品な甘さが特徴です。豊かな栗の香りと自然な甘みが魅力です。砂糖と栗を丁寧に煮詰めることで、栗本来の味わいを堪能できます。栗あんには、栗の粒を残すタイプと、裏ごしして滑らかにしたタイプの2つがあります。

粒が残るタイプは栗の食感が楽しめ、裏ごしタイプは滑らかな舌触りが特徴です。栗あんは和菓子だけでなく洋菓子にも使われます。秋の季節限定商品やモンブランなどの人気スイーツの材料として知られています。

和洋折衷のスイーツにも使われる栗あんは、幅広い用途からスイーツ好きに人気です。栗きんとんの主原料としても使われ、日本の和菓子文化に深く根付いています。

【製法別】あんこの種類

製法別によるあんこの種類は、以下のとおりです。

  • つぶあん
  • こしあん
  • つぶしあん
  • 小倉あん

つぶあん

つぶあんは、小豆をつぶしながらも小豆の形を少し残したあんこで、小豆本来の風味や食感が楽しめます。小豆の粒々とした食感が特徴です。水分量が多いためこしあんより柔らかく、皮の食物繊維も摂取できます。和菓子や餅菓子に広く使われ、大福やどら焼き、たい焼きなどに用いられることが多いです。

小豆を煮て砂糖を加えて練るシンプルな製法ですが、地域や店舗ごとに粒の大きさや甘さが異なります。小豆本来の味わいを楽しみたい人は、つぶあんがおすすめです。

こしあん

こしあんは、小豆を裏ごしして皮を取り除いて滑らかにしたあんこで、つぶあんよりも滑らかな舌触りが特徴です。和菓子好きにはおなじみのようかんや饅頭、大福など、多くの和菓子に使われています。

関東風や関西風など地域によって特徴が異なる点も味わい深いです。関東風は甘さ控えめ、関西風は甘めという特徴があります。

こしあんは保存性が高く、お取り寄せした和菓子も長く楽しめます。製造工程で裏ごしの回数や水分量の調整により、細かさや固さが変わるため、和菓子職人の技術が光る素材です。

つぶしあん

つぶしあんは、しっかりと小豆を潰しますがその後皮を取り除かないあんを言います。つまり、豆をつぶした後に皮を取り除けばこしあん、皮を取り除かなければつぶしあんになるのです。粒あんとこしあんの中間の食感が特徴です。粒感を残しながらも滑らかさがあり、小豆の風味と甘みの絶妙なバランスを楽しめます。ようかんやどら焼きなどの和菓子に多く使われ、和菓子店ごとに異なる粒の残し方で味の違いがあります。

水分量や砂糖の調整で好みの固さにでき、家庭でも作りやすいあんこです。つぶしあんは、和菓子の世界で重要な素材として、多くの人に愛されています。

小倉あん

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小倉あんは、こしあんやつぶあんに蜜で煮た大納言小豆を加え混ぜたあんです。名前は京都の小倉山に由来し、控えめな甘さで粒の食感が楽しめるのが特徴です。和菓子だけでなく洋菓子にも使われ、小豆の粒が20~30%含まれた中間的な食感が特徴です。

水分量は35~40%で、小豆の栄養をそのまま含み、健康的なスイーツ作りにも適しています。独特の食感と程よい甘さで、多くの人に愛されています。

【加工法別】あんこの種類

加工法別によるあんこの種類は、以下のとおりです。

  • なまあん
  • さらしあん
  • 練りあん

なまあん

なまあんは、原料の小豆を煮て砂糖で甘味を付ける前のあんこです。このなまあんは日持ちしませんので冷蔵保存をするかすぐに砂糖を加える必要があります。

豆本来の味わいを楽しめる生あんを使った和菓子は、素材の良さを感じられる贅沢な逸品です。お取り寄せをするときは、配送方法や到着日に注意しましょう。

さらしあん

さらしあんは、なまあんを更に加熱して水分を飛ばしたもので乾燥して粉末状になっています。砂糖が加えられていないので好みの甘さに調整でき、また粉末なので必要な分だけ出して使えて非常に便利です。

このさらしあんに砂糖を加えて練り上げれば「こしあん」になります。

白いんげん豆から作ったさらしあんもあり、こしあんと同様に加糖して練り上げると白あんになるのです。

さらしあんの主な用途は、以下のとおりです。

  • ようかん
  • 練り切り
  • 饅頭

白あんをさらしあんにすると、より白く仕上がるため、見た目が美しい和菓子を作れます。

練りあん

練りあんは、なまあんやさらしあんに砂糖を加えて火にかけて練ったものでペースト状になっています。水飴や砂糖を加えて練り上げた滑らかな食感と光沢が特徴です。ようかんや饅頭など、さまざまな和菓子に適しています。応用の幅広さも、練りあんの魅力です。異なる食感や風味を楽しむための工夫は、以下のとおりです。

  • 空気を含ませる
  • 加熱時間や練り方を調整する
  • さまざまな種類のあんを使う

製造過程で空気を含ませると軽い食感に仕上がります。加熱時間や練り方で硬さや風味の調整が可能です。小豆や白あんなどさまざまなあんを使って作ることも可能です。季節や地域によって配合や製法が異なるため、地域の特色を活かした和菓子作りが楽しめます。

高級和菓子に多く使われる練りあんは、和菓子愛好家に魅力的な素材です。

【地域別】あんこの種類と特徴

日本各地で愛されるあんこは、地域の気候や文化、好みに合わせて独自に発展してきました。地域別によるあんこの種類と特徴を解説します。

関東地方のあんこ

関東地方では、地域ごとに特色あるあんこを使った和菓子が楽しめます。関東地方で主に親しまれているあんこを使った和菓子は、以下のとおりです。

都道府県あんこを使った和菓子
東京都人形焼(粒あん・こしあん)
神奈川県鎌倉まんじゅう(こしあん)
埼玉県十万石まんじゅう(粒あん・こしあん)
千葉県ピーナッツあん
栃木県日光ようかん(こしあん)
群馬県温泉まんじゅう(粒あん)
茨城県ゆでまんじゅう(粒あん・こしあん)
山梨県みのぶまんじゅう(粒あん・こしあん)
関東地方で親しまれているあんこを使った和菓子の一覧表

関東地方のあんこは地域の特産品や文化と深く結びついており、土地ならではの味が楽しめます。関東を訪れる際や贈り物選びの参考にしてください。

関西地方のあんこ

関西地方では粒あんが主流で、小豆の粒感を楽しめます。関西地方で主に親しまれているあんこを使った和菓子は以下のとおりです。

都道府県あんこを使った和菓子
京都府阿闍梨もち
大阪府みつ豆風あんこ
兵庫県ぜんざい
和歌山県鈴焼
滋賀県朽木の栃餅
奈良県くず餅
関西地方で親しまれているあんこを使った和菓子の一覧表

関西の和菓子店は、自家製あんこにこだわる店が多いです。職人技と地域の伝統が融合した味わい深いあんこを楽しめます。上品な甘さと小豆本来の風味が特徴の、関西ならではのあんこを堪能してみてください。

北海道のあんこ

北海道のあんこは、質の高さと独特の風味で知られています。最大の特徴は、全国シェア約95%を占める高品質な北海道産小豆を使用している点です。控えめな甘さで小豆本来の風味を重視したつぶあんが好まれています。寒冷地で育つ小豆は甘みが強く、薄い皮が特徴です。

北海道の和菓子は観光土産として人気が高く、柳月の「三方六」などがあります。北海道特有の「あんバター」などの和洋折衷スイーツも魅力です。小豆の皮を取り除いて作られる「白あん」は繊細な味わいで、特産品として親しまれています。

道内各地で独自のあんこ文化が発展しているため、訪れる際は各地のあんこを食べ比べてみてください。

九州地方のあんこ

九州地方のあんこは地域ごとに特色があり、各地の特産品や伝統を生かした味わいが楽しめます。九州のあんこを使ったお菓子の種類は以下のとおりです。

  • 博多藪あん
  • 肥後のいきなり団子
  • 鹿児島のかるかん饅頭
  • 長崎のかすまき
  • 大分のボンディア
  • 佐賀のけいらん
  • 宮崎のなんじゃこら大福
  • 沖縄の紫芋あん

博多藪あんはうぐいすあんと山芋をふんだんに使った製法が特徴です。肥後のいきなり団子はバランスのとれた味わいに人気があります。鹿児島のかるかん饅頭は素朴で風味豊かな甘さが魅力で、長崎のかすまきはかすてら生地にあんこをつつんでいます。

大分のボンディアはパイ生地とあんとの相性が抜群で、佐賀のけいらんはあっさりとした上品な味わいが特徴です。宮崎のなんじゃこら大福はいちごと栗とクリームチーズが入った贅沢な逸品で、沖縄の紫芋あんは地元の人に愛されています。九州各地のあんこは、地元の食材や製法にこだわって作られており、お取り寄せや食べ比べもおすすめです。

まとめ

あんこにはさまざまな種類があり、和菓子の魅力を引き立てる重要な素材です。原材料や製法、加工法、地域によって異なる特徴を持つため、それぞれの違いを知ることで和菓子の楽しみ方が広がります。関東や関西など地域ごとの特色を理解すると、和菓子の奥深さがより一層感じられます。

あんこの種類を知ることは、和菓子を楽しむうえで欠かせません。さまざまな種類のあんこを味わい、違いを楽しんでみてください。
»和菓子の分類から季節ごとの和菓子の種類を解説

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