クロワッサンを自宅で作るときに『クロワッサンに層ができない』失敗は悩ましいものですが、その失敗には原因があります。
クロワッサンに綺麗な層がでるようにするためには、クロワッサンの工程ごとに注意すべきポイントがあります。
クロワッサンの工程は次の通りです。
①材料準備→②ミキシング→③フロアタイム→④ロールイン→⑤三つ折り3回→⑥成型→⑦発酵→⑧焼成
この工程を追いながらそれぞれポイントを抑えて、層の綺麗なクロワッサンを作りましょう。
クロワサンの層を作るための工程ごとの注意点
材料の準備 ~ 準強力粉がポイント
クロワッサンに綺麗な層を出すためには、他のパンと違って①生地にグルテンを出し過ぎない②生地の温度を上げ過ぎない、必要があります。
そのためには、材料を準備する段階から注意すべき点があります。
(1) 準強力粉を使う(強力粉ではグルテンが強過ぎる)
(2) 生地のこね上げの温度が上がり過ぎないように、水の温度、粉の温度、室温を低くして調整する。
クロワッサン作りに最適な小麦粉。
クロワッサンで層が出やすい準強力粉です。
フランス製の粉で旨味も香りも抜群です。
プロ用の粉が使いやすい1㎏で。
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ミキシング ~ こね過ぎないで
クロワッサンの層ができない原因の一つに生地のグルテンが強すぎて、伸ばしの工程で生地が伸びにくく、ついめん棒をかけ過ぎてしまうということがあります。
グルテンを出し過ぎない生地を作るためにミキシングの段階で注意すべき点は以下の通りです。
(1) ミキシングの工程でこね過ぎないように注意する。低速でミキシングをして目安としては粉気がなくなってひとまとまりになるくらいまで。
(2)バターは早い段階で投入する。
(3)ミキシング終了時点のこね上げ温度は24℃を目指す。
(4)ミキシングの段階から室温を下げておく(クロワッサンは冬場に作るのが最適)
フロアタイム ~ オーバーナイト製法で
クロワッサンはパンの生地でバターを包んで長方形に伸ばす工程がありますが、このときにバターとパンの生地の固さが違うとパン生地とバターが同時に伸びません。
パン生地がバターより柔らかいと生地だけ伸びてバターは生地の中でそのままで伸びることができません。逆に、バターの方がパン生地より柔らかいと、伸ばしの作業のうちにバターが溶け、パン生地に吸収されてパン生地とバターが一体化してしまいます。
バターとパン生地を同じくらいの固さにすることが重要です。
ではパンの柔らかさにバターを合わせるのか、バターの固さにパンを合わせるのかですが・・・
バターをパンの柔らかさに合わせようとするとバターの温度を上げることになります。するとバターは溶けやすくなり作業性は悪いし、パン生地に吸収され層ができない原因となります。
パン生地をバターの固さに合わせるのが良いのです。と言っても水分量を減らして生地を固くするのではなく、生地の温度を冷やしてパン生地を固くするのが良いです。それも数十分冷蔵庫に入れても冷やしきることができません。
そこで、フロアタイムのベストの方法は、
一晩パン生地を冷蔵庫で寝かせて、ある程度の固さに調整するやり方です(オーバーナイト製法)。
ロールイン ~ バターの温度と固さがポイント
オーバーナイト製法で固くしたパン生地で板状に伸ばしたバターを包みますが、このとき、バターの温度を上げないことが、クロワッサンに綺麗な層を出すためのポイントとなります。
温度を上げずに固いバターを板状に伸ばすには、砂糖が入っていた袋等の丈夫なビニール袋に入れて、めん棒で叩いて伸ばして畳み、また叩いて伸ばしては畳む・・・という作業を繰り返して柔らかくして形を整える方法がベストです。
四角く形を整えたら冷蔵庫で20分ほど冷やして形を落ち着かせます。
3つ折り3回 ~ 温度を上げないように
(1)
クロワッサンやデニッシュはパン生地とバターを何層にも折り込んで層を出していきます。このとき、層が正しくできてる場合、パン生地を切断してみると、パン→バター→パン→バター→パン→バター・・・・3つ折り3回の場合は27層になっています。
私が修業時代、シェフが発酵前のパン生地をカットしてその層を見せてくれて本当に感動したものです。
そしてクロワッサンを焼成したとき、まさにこのパン生地とバターの層が、クロワッサンの層となって焼きあがるのです。
ところが、パン生地とバターが吸収されてこの層が見られなくなっている場合があります。切断しても層は見られず、普通のパン生地とあまり変わらない様子になっています。
ではなぜ、このようにパン生地とバターが一体化してしまうのでしょうか。
それはバターが溶けてパン生地になじんでバター単独として存在しなくなってしまうためです。
バターが溶け出さないようにするために一番大事なことは、生地とバターの温度を上げないために手早く作業をすることです。
まためん棒のかけ過ぎも、バターがパン生地になじんでしまう原因となります。できれば手数が少ない方が良いですね。
クロワッサンを作る時、パン生地の温度を上げないために
「人工大理石」の伸ばし板を使うのが最適です。
打ち粉を振ることによってパンの生地が滑りやすくなり、
スムーズに伸ばすことができます。
伸ばすときにテーブルと板がずれないように
滑り止めが付いているのも良いですね。
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(2)
伸ばした生地は三つ折りをして冷凍庫で冷却をします。このとき、適度な冷却が肝心です。冷やし過ぎてしまった場合はバターが固くなりすぎます。バターが固すぎると、次の作業でまた伸ばした時に、パン生地の中でバターが折れてちぎれちぎれになってしまうのです。
そうなるとバターのあるところと無いところができて、クロワッサンに綺麗な層が出なくなる原因となります。
もし、冷凍庫から出した三つ折りの生地が冷えすぎて、バターが固くなりすぎているようでしたら、手の平で少し温めるようにするとすぐにバターは柔らかくなります。
三つ折り作業中はバターを冷却することが大事ですが、冷やしすぎにも注意が必要です。
成型 ~ バターが溶けないように
クロワッサンの成型自体は難しいものではありません。バターが溶け出さないように手早く行いましょう。
発酵 ~ 適正温度で
ここまで綺麗にクロワッサンの層を保ってきても発酵の温度が高すぎると、この段階で一気にバターが溶けて、層の出来ないクロワッサンになってしまいます。
発酵温度は通常のパンより低い28℃が理想かと思います。時間の都合で発酵を急ぎたい時でもギリギリ30℃で抑えた方が良いでしょう。
それよりも高い温度ですと、発酵中にバターが溶け出してしまいます。
また湿度は70%が理想です。湿度が高すぎるとクロワッサンの表面がふやけてしまうので、そのようなときは発酵時間を短くしましょう。
クロワッサンを最適な温度で安定発酵させるためには
発酵器が便利です。洗えてたためる優れもの!
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焼成 ~ 高温焼成で層を出す
クロワッサンの層を綺麗に出すための最終は焼成温度が大きくかかわってきます。クロワッサンは他のパンより高温で焼いた方が食感が良く仕上がります。電気オーブン、ガスオーブンかによっても変わってきますが、
230度12~13分
を目安に焼いてみて、あとはご自宅のオーブンに合わせて調整するのが良いかと思います。
まとめ クロワッサンの層を出すコツ
クロワッサンを作るときに層ができないというお悩みを解決するのには「生地とバターの温度」管理が大切になってきます。バターが溶け出さないようにすることが重要です。
また、クロワッサンを作る工程ごとに層を綺麗に出すためのコツがありますから、それを抑えると良い結果が得られるように思います。